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朱夏 

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 アタタカイ ハート (左之ver)

【皓月庵】様との相互リンク記念に書かせて頂きました。
 ちょこ様からのリクエストです




実際、こんな男所帯でよくやってくれてると思う。
たまにゃぁ留守番じゃなく、気晴らしに連れて行ってやってもいいんじゃねぇか…

 ー アタタカイ ハート (左之。ver)

「原田さん、ありがとうございます」
巡察から戻った俺を、いつも通り出迎えてくれた千鶴がぺこりと頭を下げる。
「礼を言われるような事、何かあったか?」
「今夜の宴にご一緒出来る様に、土方さんにお願いして下さったのですね」
お願いした覚えは無いが。
千鶴にも気晴らしが必要だろうと言った事を、土方さんが覚えていたとは思わなかった。
案外あの人なりに千鶴の事を気にかけていたんだろう。
「いつも留守番ばかりさせてるから、皆と一緒に出かけるのもいいかと思ってよ」
「初めてで、作法も何も判らないから…ご迷惑をおかけするのではと心配です」
「呑んで、喰ってくるだけだぜ?。何も心配ねぇよ。緊張するなら俺の隣に座ってりゃいいさ」
可愛らしい心配事をする千鶴の頭に、ぽんっと軽く手を載せて安心を請け負ってやる。

ー よろしくお願いしますと、満面の笑顔で返されたのに。
宴が始まった途端。
隣に座る千鶴を無視するかのように、俺の両脇に芸妓がずいと入り込んできた。
おいっ。思わず声を荒げたが。
千鶴はそれを諌める様に、小さく首を振る。
そして、引き止める間もなく。
俺の隣からは遠く離れた平助の隣に、そっと席を移してしまった。

来りゃぁいいのに…って。そんなに羨ましけりゃ、だったら新八、てめぇが動け。
そっちにゃ千鶴がいるから動けねぇんだ。愚鈍な奴は嫌われるぜ?…察しろよ。
他の連中も「酒さえ呑めれば…」だの「来られると五月蝿い…」だの、言いたい放題。
少しは公の場だと認識しやがれ。
腹が立って。馴染みの姐さんに、あちらにも酌に行ってくれと頼んだのだが。
「…沖田はんにな、お白粉の匂いは、かなん、と嫌われてしまいました」
苦笑混じりに肩を窄め、すぐ戻ってきてしまう。
俺だって特別愛想が良い訳じゃぁねぇが。
それでも場に花を添えにきた芸妓に、嫌な想いをさせねぇ程度の配慮くらいはする。
なのにあいつらときたら…。
結局は。
どうやら皆、宴の場に慣れない千鶴を楽しませようと忙しく、他は眼中にもないらしい。
何くれ無く声を掛け、甲斐甲斐しく世話を焼いている。
本来なら、それは俺の役目だった筈。面白くねぇなと思いつつも。
緊張した面持ちが消え、はしゃぐような笑顔も見せる千鶴に安堵もしていた。

千鶴が楽しけりゃいいか。
今夜は奴らに任せようと腹を括ったとき。
平助が千鶴の耳に、何やら囁いているのが見えた。
耳打ちされた言葉に驚かされたのか。
千鶴はぽかんと小さく口を開いたまま、こちらを伺う様に盗み見た。
何かを探り出そうとする眼に、疑心の影がちらちら混じる。
気にいらねぇな。
千鶴にこんな顔をさせるなんて。
ー 平助、てめぇ、千鶴に何を吹き込みやがった?。


左之vs平


俺の剣呑な視線に気付いたのか。平助が、ほろっと笑う。
知っているよと言いたげな、生意気な視線が気に障る。
てめぇに、何が判るってんだ。
胸に上がる苦々しい思いを、酒とともに一気に飲み切ると。
俺は平助を視界から遮断する。

ふと…感じて。
突然 ー 千鶴と視線が。
噛み合った瞬間、ふっと全身から力が抜け落ちた。
先程の疑心は無い。いつも通りの…。
いいよなぁ、その目。
…愛おしい…暖かい…柔らかい。
自然に。自分の口の端が上がった。頬がゆるりと弛むのが判る。
ー 俺は笑っていた。

名を呼ばれて、我に返った。
「どなたか思い出されて?」
隣に座った芸妓が、俺の太ももに手をかけると垂れかかる。
その重みを一端、肩で止め。そのままするりと受け流す。
「いけずな…」
上目遣いに恨めしげに睨まれても、知らぬ振りで通した。
手の中の空いた杯に、他方からそそと酒を注がれる。
これだけ女に囲まれながら。
自分の欲しい女はここにはいないと、微かな苦笑を落とした。

                     (終)





(追記。8/05 ちょこ様から頂いた漫画を一緒に掲載させて頂きました)

結局、左之さんは「惚れた相手」しか見ていない…。
だから自分だけに振り向いて欲しくって、皆、右往左往しているんですよ、きっと。
一途に真っ直ぐで。純粋な人だと思うのは…惚れた欲目ではないと確信してます。

ちょこ様には、小さなSSをとても素敵な漫画にして頂いただけでなく、
色々な経験を積むきっかけも頂きました。ありがとうございました。
このご縁は私にとって大切な宝物。
これからも、どうぞよろしくお願いいたします。









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Author:みゃう
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