朱夏 

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夜に、わらう (三馬鹿)

tama様のリクエストです。



夜に、わらう


真夜中の。思い掛けない訪問者にも驚かされたが。
その理由を聞いて、また言葉を失った。
聞いた言葉の真意が読めずに。永倉も原田もぽかんとしている。
「ですから…時折、藤堂君に逢ってやって欲しいとお願いしているのですよ」
ー 外へ連れ出しても良い。
ー 彼の部屋を訪ねても良い。
何でも良いからと、山南から深々と頭を下げられて、ますます困惑する。
「俺達に異存はねぇ、というよりも。正直、願ったりだが…。それってまずいんじゃねぇのか」
「勿論。ただ今のうちならば、藤堂君も発作を起こす事も少なく『自身』を保っていられる時間も長い。だからこそ…彼と特に親しかったお二人にこうしてお願いに伺ったのですが」
ただ、
「万が一の事があったとき、迷わず処置出来るのもお二人だけでしょう?」
何の感傷も感じられない『処置』の言葉に。
酷ぇ言葉だなと思いながら。でも多分。今度こそ間違いなく斬れるだろうと思う。
自分が大切に思うのは人である平助で。
狂って。何もかも判らなくなってしまった、ただの生き物なら躊躇はしない…。
むしろそれが正当な行為であるとさえ思える自分はー 冷たいのかと永倉は嗤う。

贖罪でさえ、ないのでしょうね。
ただの、勝手…だ。
山南は尚も自分を責め続けている。

違うな。結果を解っていながら選んだのは平助だ。そのことに山南さんには、なんら責任ねぇよ。
俺達が間違えたのは…。
俺達の都合で。感情で。
生き残るという選択肢を、あの場で与えてしまった事だろう。
そう言い切る自分は、山南よりも誰よりもー冷たいのだと原田は嗤う。

「久しぶりだな、開けるぞ」
藤堂に断る暇を与えず。いつも挨拶と同時に障子戸が開かれる。
「んっだよ、一昨日来たばかりだろ…何の用?」
彼らが訪ねて来る頃だと思っていたし。その理由など尚更聞くまでもなかったが。
一応、礼儀として藤堂は問いただした。
「んーっと、ほら。何だ、あれだ。また酒でも呑まねえかと思ってな」
毎回、毎回同じ言葉なのに、必ず永倉はすんなりと言えない。
まだここを訪れる事に、後ろめたいものがあるからだと思う。
そんな永倉の後から、苦笑混じりに原田がすらりと部屋に入り込んでくる。
藤堂の傷が癒えた頃から、二人は時折訪ねてくるようになった。
ここは死人の住まう場所。本来ならば彼らが訪れる事は禁じられている。
彼らが訪れる度、その生気を感じ取って屋敷全体の空気がざわつき、熱が上がる。
管理している山南は当然それに気付いているだろうが、咎められたことはない。
というよりも…
二人がこうして簡単に訪れること自体、山南の差し金だろうと藤堂は確信している。
時折、それは辛そうな目で自分を見ていることに気付いていたから。
「いいのかよ。明日の仕事に支障が出て土方さんに怒鳴られても知らねぇぞ」
最初の頃は。
二人の訪問が、ただただ嬉しかった。
こんな身体になっても自分を気遣ってくれる人があるということが、どれほど救いであったか。
だが、こう頻繁に訪れていては、体力に自信のある二人でも辛いだろうと藤堂は思い遣る。
「大丈夫だ。お前に心配されるような柔な体力じゃねぇ」
「悪ぃな。俺らの方こそ詰まってんだ…。助けると思って付合ってやってくれ」
こんな時まで俺に負い目を追わせまいとするんだ、あんた達はさ。
きっと…礼の言葉もすんなりとは受け入れてはくれないんだろうな。
「平助も、ほら突っ立ってないで、さっさと座れよ」
極めて、平静に自分に接しようとする二人は、
愛おしくて、大切な。かけがえのないものだと感じている。
自分で選択した闇の深さに怯えながら、俺はどのくらい「藤堂平助」のまま、二人と一緒に過ごせるのだろうかと…藤堂が笑った。





【遊歩道】のtama様から「三馬鹿を」とリクエストを頂きました。
お祝い事の捧げ物としては暗めですが…お受け取り頂いて嬉しいです。
これからもどうぞよろしくお願いします。

明るい話が絶えない彼らですが、ゲーム上はとてもシリアスで切ない。
新選組に、羅刹に関わった人が、皆。平助のことを心配していたらいいのに…







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Author:みゃう
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