朱夏 

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NG  (さのちづ)

たまには、あるよね


NG



一つだけ軽い足音に歩調を合わせて歩く。
今日は随分ゆっくりですねと、気付かなくても良い事に気付く奴があれば。
「丁寧、だろ?」
言葉は選んで使え、と。
きっちりと釘を刺してやる。

その足音が、時折,立ち止まるのは。
探し求める父親に似た誰かを見かけた時。
駈ける早さで隊列を離れた、小さな足音は。
やがて、ずるりずるりと錘を引きずる様に戻って来た。

あぁ、また違ったのか。

隊列に加わった千鶴に、その場で待つ様に告げ。
自分の後に続いていた隊士達に先に屯所に戻る様、命じた。
最後の一人が、自分の前を通り過ぎるのを確認すると、そっと目配せして、二人、路地裏へ移動する。

大丈夫かと、声をかけるよりも前に。
「ごめんなさい。お気遣いありがとうございます…でも、大丈夫です」
幾度も味わった挫折感に、直ぐにでも泣き出しそうに顔を歪ませているのに。
それでも精一杯、気丈に振る舞う。

あぁそうだ。こういう奴だった…。
どんなに辛くても、まず自分の力で立ち直ろうとする。
陳腐な慰めの言葉など、今更要らねぇ。
だったら、いっそ。
「済まねぇな…山南さんに墨を頼まれてんだ。付合ってくれるか」
せめて。
努めて無関心な振りを装って。
互いに無用な気遣いを断ち切った。





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