朱夏 

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



最後通牒

(さのちづ+八)で…





最後通牒


「言いたいことはそれだけか?」
唸るような、静かな声だったと思う。
こいつの、こんな冷えた声を聞くのは初めてかも知れない。
笑っていたり、憤っていたり、泣いていたり。いつだってその時々の感情を、裏表無くそのまま乗せた声だったはずだ。
こんなにも、感情を殺して。声を出せるとは思わなかった。
「原田さんを巻き込んだのは私です。だから悪いのは全て私で…」
千鶴の声は掠れていたけれど、新八の憤りの矛先を自分に向けさせようとする、強い意思がある。
それはこれから決別する俺たちが憎み合わないようにとの、思いやりだったのだろう。
だがそんな小細工が通用するような、ちっぽけな相手ではない。
「千鶴ちゃん、そりゃ違う。問題は左之だ」
案の定。
新八は千鶴の名を呼んだが、多分その言葉を聞いてはいない。緊張に震える姿すら眼に入っていたか、どうか。
切り突き通すような眼は、俺だけに向けられている。
ー 何故だ。一体いつからだ。
問い詰める声に段々と熱が帯びてくるのは、不実な振る舞いを責める怒りか。それとも置き去られる悲しみか。
それでもなお、必死で言い募ろうとする千鶴を無理矢理自分の背に追いやった。
「いいから、黙って見てろ」
俺はお前の前にいる。
何があっても、お前だけをこの背で守り抜くと自身に誓った。
お前は俺の背中をだけを見ていればいい。
それは、
ー『願い』だ。

据えた眼は離さない。
真っ正面で、
睨み合う。
「裏切る、って言うのか?」
「お前を裏切ることは出来ないさ。ただ俺はお前とは違う道を生きることを選んだ。それだけだ」
「馬鹿馬鹿しい。詭弁だな」
「道を違えたら,敵か。ガキみたいにお手手つないで、仲良しこよしでいなけりゃ信用できねぇか。そんな程度のつきあいだったか」
ー 俺たちは…。
「見え見えなんだよ。怒らせてうやむやにしようなんざ。その手にゃ乗らねぇよ」
「ほぅ。新八にしては回るな。誤摩化して済むんなら、とうに黙って消えてらぁ」
「うるさい、うるさい、うるさい」
地団駄を踏み。
俺の言葉を振り切る様に「信じねぇ、信じられねぇ」と否定し続ける新八に。
嘘も誤摩化しも通じない、虚勢を貼る事が許されない相手だからこその、
ー 最後の、言葉。

「もう一度、言う。俺たちはお前と一緒には行けない」


                       (終)





何度目かの本編、左之ルート。どこを今を辿っているか、バレバレ…
目一杯、当たって砕けてます…。


 | HOME | 

プロフィール


みゃう

Author:みゃう
誕生日。総司の命日
原田左之助溺愛中

足し算よりも引き算の文字書き
重箱の隅を突いて丸くするのが夢





さの向上委員会


応援してますv


都々逸


ブロとも一覧



皓月庵


MAIL



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。