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朱夏 

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冬の理由 (左←千←平)

Valentine's dayのSSです。


冬の理由

千鶴が入学して初めての冬。校内でのチョコレートの受け渡し禁止となった。
義理でも何でも。この際いっそ憐れみだって構わない。
貰えるものなら駄菓子屋のチョコ一個でも充分、という連中ばかりなのだ。
過ぎた期待を負わされる、ただ一人の女子生徒を思えば当然の配慮だった。

「ね…、駄目?」
半泣きの上目遣い。
これが計算ずくの行動でないと判っているから、タチが悪い。
「それ、本気かよ?」
「だって…禁止になっちゃったから…」
涙をこらえようと小さく息を呑み込む度に、千鶴の声が途切れる。
大切な幼馴染みからの願い事。
いつもなら、どんなことでもすぐに叶えてやりたいと思うけれど。
今回ばかりは簡単には頷けない。
「『受け渡し』が校則違反なら、俺が渡すのもいけねぇんじゃねぇの?」
刺を含んだ言葉が通った後の、後味の悪さに藤堂は顔をしかめる。

不機嫌な言葉の後で黙り込んだ藤堂を、千鶴は不安げに見つめていた。
常に近くに在って、心を許せる存在。
だからといって頼っていい事と悪い事があったのに…自分はつい、甘え過ぎたと思う。
「ご免ね…無理を言って…忘れて、ね」
無理に笑顔を作ろうとした千鶴だが、真っ直ぐに唇はひかれ、強張らせた頬で顔を歪ませた。もう目はまっ赤だ。
千鶴は馬鹿だなと思う。
いっそ大声で泣いてくれたら慰める事も出来る。我が侭を押し通してくれたら…喧嘩だって出来るのに。
辛い気持ちを抑えて、笑おうとする。…ただその気遣いが全くの方向違いだとは気付いてないけれど。
「あぁ、もう…判った。判ったから。それ、寄越せよ」
藤堂は千鶴が持ってきた小さな紙袋を取り上げる。
ー 結局、俺も馬鹿か…今更だなと思う。

「どうした?。こんな早くから」
部活の朝練に合わせて出勤した原田は、教科準備室の前で寒そうに足踏みしている藤堂に声を掛けた。
藤堂は無言のまま、一度は原田に向けた視線を迷う様に泳がせる。
「何考えてるか知らねぇけどな。挨拶くらいはちゃんとしやがれ」
小言にも応えず。藤堂は持っていた紙袋を原田の胸に押し付けた。
原田が訝し気に受け取った袋を覗くと、紅いリボンを掛けられた小箱が見える。
「何だよ、コレ」
「チョコ」
「お前から…?。な、訳ねぇよな」
「当たり前だろっっ。そんな趣味無ぇよ。つーか……普通なら土下座されて頼まれたって断るけどさ…。ちゃんと渡したからな。後は勝手にどうとでもしてくれよ」
ー 仕方ねぇじゃん。あいつは絶対に泣かせたくねぇんだから。
畜生っと小さく呟いて。
「ちょっと待てって、おいっ」
呼びかける原田の声を無視して、藤堂は千鶴が待つ教室へと駈け出した。







リクエストを頂きまして、有り難く、修正復活させました。
平ちゃんの扱いの酷さについては…平身低頭で謝るしか…。
彼が一番千鶴さんにはお似合いだと思うんですけど…何故かこうなる。



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